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流されるままに。 呑んでいればご機嫌。
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北穂山頂へは、青い健脚のお兄さんが一足先に到着し、そこにわたしが辿り着いた。幻想的な霧の中で、「北穂高岳3106M」と書かれた木の看板に、抱きついてしまう。はしゃいでる間に、臙脂の女性もすぐに登ってきた。お互いに写真を撮りあったり、3人で一緒に記念撮影する。女の子のほうが少し疲れて、カップルちゃんもやってきた。途中までと言っていた黄色の女性は降りたようだったが、途中で会った5人みんなで一緒に登ったような嬉しさが生まれる。一人では登れなかった北穂。ここで出会った人たちがいたからこそ登れた北穂だった。

かわいい北穂小屋でおいしい中華丼を食べ、雨の降る中大急ぎで下山する。それぞれのペースで。紅葉の涸沢の中へ戻っていく。涸沢に着くと青いお兄さんがすでにビールを呑んでいる。臙脂の女性は、この寒いのに涸沢ヒュッテでソフトクリームを食べてきたと言ってゆっくりと戻ってくる。女の子の方が少し疲れていたカップルちゃんは、どうやら今日は北穂小屋泊を決めたようだ。

夜、外で一人で飲んでいた。庇のあるところだけれど、雨だから、人は少ない。隣の男女の会話が自然耳に入ってくる。どうやら屋久島の話をしている。田舎浜という単語も聞こえる。思わずそっちを見ると、「一杯どう?」と三岳。「実はさっきから話しかけたかったでしょ。」図星。「わたしも去年田舎浜で4泊してるんですよ~」「じゃあ、あのおばちゃん知ってる?」そんなんで盛り上がって聞くところ、そのお兄さんとお姉さんは田舎浜の海亀監視員のボランティアで出会ったお友達同士で、お兄さんは今は上高地の食堂で働き、お姉さんは外人さんのご主人がいて、金沢でケーキを作っているという。ひとしきり盛り上がったところで、屋内の談話室へ移動。青いお兄さんと4人でさらに盛り上がる。「誰が一番年上か?」わたし、32歳。「若っ」。青いお兄さん37歳。「おー、俺の方が上かぁ」と屋久島のお兄さん。「じゃあ一番上は」とキュートなお姉さんを指差す。お兄さん39歳、お姉さん40歳。「彼女置いてきていいの?」「いや、まずいみたい」(青いお兄さん)。お嬢の彼女にどうやらフラレタらしい屋久島のお兄さん。そして、わたしは。「よく一人で来るの?」「いや、去年は二人だったんですよ~。屋久島も」「あれま」「振られたんですけどね。」「お、恋バナ♪」「彼がシルバーウィークに穂高来たんだけど、超晴れてて、送ってくれた写メ見て、悔しくって来ちゃいました~」「お、ダーリンのトレースじゃん!」「若いねぇ」「ひゅー」・・・。いいねぇ、恋だね~。と言われていると、そっか、恋か、と思う。明日が彼の28歳最後の日で、明後日が誕生日だ。大阪に会いに行っちゃおうかな、と思う。穂高に一人で登れたし、山を堪能できたから、もう就職しなくっちゃ。就職したら、気軽には行けなくなってしまうから。雨のなか、いい気分でテントに戻る。明日は、ここからバースデーカードを送ろう。

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