流されるままに。
呑んでいればご機嫌。
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Ⅱ
たった一週間で大雪渓のルートは若干変わっていた。その大雪渓を登り切ると、急登とお花畑だ。お花畑と言っても坂のきつさは変わりなく、ただ気分的には歩いていればいずれ辿りつく、と思うことができる。歩いていれば着く、歩いていればいつかは着く。そう言い聞かせても、なかなか進まない。シャリバテにならないよう、おにぎりとカロリーメートだけは、必要以上にしっかりと食べる。 「シャリバテ」その言葉は先週知った。そしてわたしたちのパーティーの中で、流行語になっていた。 後発隊は、お昼頃出発したようだ。わたしとリーダーは考える。12時過ぎに出発したら、白馬尻が2時ぎりぎり。大雪渓は2時までに入らないといけないから、後発隊は今日は白馬尻で停滞かな。大雪渓を登りきり、急登を休み休み行く間、すでにしんどくなっているわたしたちはそう見当をつける。お花畑を抜け、這うように最後の急登を終える。テントを張って身支度をして、そしてやっとビールに辿り着く。リーダーはすでに生ビールを片手に、スケッチをしている。生ビールのとなりにはメンチがある。それにしよう。わたしも缶ビールとメンチを手に入れて、リーダーに並んで、目の前の白馬槍を眺める。また今日も二人かな。明日はどこ登って待っていようか。白馬槍まで行けるんじゃない?あ、それいいですね。 そろそろテントに戻ろうか。おなかすいたし。そういう時間になっても、後発隊からは次の連絡がない。もしかして登っているのかなぁ。その低い可能性が、だんだん確信になってくる。2時に登り始めたら、頑張っても5時。白馬尻からのわたしたちでさえ、疲れきった大雪渓とそのあとの急登。3時間は不可能だ。今日の日の入りは?6時半、7時頃までは明るいだろうか。目標の時間は日のある間、ですね。おなかすいたけど、ちゃんとした食事はみんなを待つことにして、お酒と、とりあえずラーメン一つ分を食べようか。ちょこちょこ抓んでいると。おーい。おーい。見上げると走ってくる人がいる。おーい。後発隊だ!歓待体勢で彼を迎えたが、彼はミッションを持っていた。空身で戻り、他の二人の荷物を手伝うこと。一人が「シャリバテ」で歩けないらしい。体力のある彼はもう一度暗くなりつつあるお花畑の方へ戻っていった。 それから30分ほどかかっただろうか。もう暗くなったキャンプ場へ、後発隊の3人が到着した。電車に乗り損ねた一人は、先発のわたし達が迎えに行かなかったと文句を言う。まあまあ。来るとは思わなかったですもん。食べ物持ってるんだから来なかったら怒られるじゃないか。来るに決まってるだろう。いやぁ、すみませんでした。疲れちゃって。そして「シャリバテ」の一人は、シャリバテになったことにショックを受けていた。昼から登りはじめるからと、夜行の中でずっと呑んでいたんですよ。だから朝ごはんもろくに食べないて、それで登りはじめちゃったんです。 シャリバテにならないよう、ごはんとカロリーメートを食べながら、先は知れているはずなのに延々と続きそうなお花畑を、今日のわたしは一人で歩く。 PR |
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