流されるままに。
呑んでいればご機嫌。
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Ⅳ
ずっと向こうまで続く雲海の、向こうの方がうっすらピンクになってくる。東側はずっと遠くの方まで山がない。広く広く、無限に雲海が広がる。 写真を構えたおじさんは、だからこの山頂はつまらない、と演説している。ご来光の写真を撮っても、特徴のある山が写らないから、どこだかわからない。文句を言いながら、それでも立派な一眼レフを構えてご来光を待っている。 水平線のような雲海の上も、雲がかかっている。ご来光はどうだろう。果たして拝むことができるだろうか。祈る気持ちで瞬間を待つ。雲海の向こうのピンクが広がってくる。一箇所の光が強くなってくる。あそこに太陽がいるようだ。場所を確定し、その一点を見つめる。日の出の時刻を少し過ぎたとき、その一点が、強烈な光を放った。 わたしはここにいる。先週と今週と、二週連続でここに立っている。なんて素晴らしい、なんて奇跡的なことなのだろう。普通にはあり得ない、なんてありがたいことなのだろう。そう、まさに「有り難い」ことなのだ。太陽は半分姿を現したところで、今度は頭が、雲の中だ。雲と雲に挟まれ、ちょうど胴体だけが、形を見せて輝いている。そんな太陽が、雲海の向こうにいる。ここにいることを。ありがとうございます。 テント場へ戻る道は、正面にさらに素晴らしい朝の剣・立山。大満足に、笑みがこぼれる。 白馬の頂上に、もう一度立った。もう充分だ。わたしは満たされている。 あと一泊する白馬三山ピストン計画も、鑓温泉で一泊する鑓温泉ルートもやめた。白馬朝日を縦走して休む間もなくまた白馬へとわたしを運んだわたしの足が、静まったわたしの心へ訴える。帰ろうよ。うん、帰ろう。スタンダードな栂池ルートで、今日中に帰ろう。お家に帰ろう。朝ごはんを食べ、テントを片付け、テントを背負って歩きだす。もう一度、白馬の頂上へ向かう。青い空に、剣・立山が輝いている。長い長い今日の歩行が始まる。 PR |
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