忍者ブログ
流されるままに。 呑んでいればご機嫌。
[158] [157] [156] [155] [153] [152] [151] [150] [149] [148] [147]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

焼野の三叉路というところへ来た。
先客が二、三人。持ち主のいない大きなザックが二つほど。

ここは左に行けば百名山の宮之浦岳、右に行けば永田岳への分岐である。宮之浦岳の方から来た人たちが行く道は私たちが来た道であり、わたしたちは宮之浦岳の方へ抜けなければならない。永田岳はここに荷物を置いて行って帰ってくる、そんな位置付けの山である。この日の歩行時間、すでに5時間。宮之浦岳の先の小山でもやはり5時間。そんな場所なのだ。「水場どこでしょうか」先客に聞くと「ない」と言う。地図には確かに水場があるはずなのだが。

焼野の三叉路から十分ほど永田岳方向へ行ったところに、ちょうどテント一つ分のスペースがある。三年前に来たことのある同行者の記憶を頼りに、焼野の三叉路を後にする。世界遺産となった今、山の中でのキャンプは緩やかな禁止事項である。が、今日はここでビバーク、という確信犯であった。記憶通り、テントに適したスペースがあり、そこを一日の宿と定めた。荷物を下ろし、昼食のアルファ米やガス・コッヘルを持って永田岳へ向かう。

さて、このとき自分の腕がひりひりとしていることに気がついた。肉として焼けている感じだ。朝塗った日焼け止めは、そろそろ時間切れなのか。いや、汗で徐々に流れたのだろう。腕を見るとうっすら赤みがかっている。光を跳ね返す力を失ってきているようだ。皮膚が光を吸収しはじめている。まずい。私の肌は日に焼けると赤くなり、ひりひり痛くなってだるくなる。気がついてしまうと、気になって仕方がない。ところが、永田岳への途中で、昼食のときにでも塗りなおそうと入れたはずの日焼け止めが、ポケットにない。ぎゃあぎゃあ騒いだが仕方ない。そう、「諦めなさい」と諭す同行者は、すでに真っ赤だったのだ。雨の多いと言われる屋久島にあって、完璧と呼べる晴天の下、すでに5時間も歩いているのだ。日焼け止めはいらない、と聞いたことがあったので、日焼け止めを貸すことすら思いつかなかった。彼の肌は、私と違って日焼けが黒く落ち着くようだ。一週間後には、その黒さで出勤することになることに、彼は突如思い至った。諦めるよう諭しながら、彼も自分の黒さを気にしはじめた。

水を見つけ、ご飯を食べ、休んでみると、日焼け止めは、やはりちゃんと持ってきていた。今さらであるが塗ってみた。わたしは、ちょうど健康的に焼けるだろう。彼は、本当に気休めに塗ったのだった。


日焼け止めの跳ね返して余りある光かな
PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
AKIKO
性別:
非公開
バーコード
アナログ時計【トランプ】
お天気情報
忍者アド