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流されるままに。 呑んでいればご機嫌。
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人の顔をとやかくいうべきではない。そんなことはわかっている。人の顔を見て笑う。それはとても失礼なことだ。その程度の常識は持っている大人のはずだ。しかし、やってしまった、人の顔を見ての大爆笑。

永田岳の麓で、夕食時、虫の襲撃を受けた。かゆさは蚊のようだが、もっと小さい小蝿のような虫。こいつが犯人らしい。可哀想なのは同行者。私は虫に狙われやすいはずなのだが、虫は完全に同行者を狙う。虫にも好かれるなんて羨ましい、とは珍しく襲撃を受けていない私が言えることである。長袖を着、フードを被っているので、出ているのは顔だけだ。その顔、しかも目や耳を狙ってくる。夕食を食べ、お酒を飲みながら、私はなんだか過去を延々と愚痴っていた。一生懸命聞いてくれていたが、ついに同行者が言う。「大学が嫌だったのはもういいからさ、この虫なんとかしてよ。」ごめん。これ以上愚痴り続けるところでした。早々にテントへ引揚げる。

翌日の夜は淀川小屋泊。
ここでも刺されたようだ。

さて、淀川小屋の朝。

眠れない一夜を過ごし、朝が始まる前に川へ下りる。川でまったりと時間を潰す。様々な思いが脳を巡る。同宿のカップルを見送り、2日前に縄文杉で出会った人と再会する。小屋に戻り、デッキで寛ぐ。さて、やっと起きてきた同行者。え?

虫に刺されて顔が腫れあがり、ぱんぱんに丸い。そして目の上をやられているため、目が開いていない。はっきりと別人である。様々な思いに捉われて寝不足なまま迎えた朝だったが、いろいろなことがどうでもよくなる。本当にどうでもよくなる。負の思考回路が明るくなる。人の顔を指さして大笑いする。ここまでの衝撃は滅多にない。

 こんな顔だっけ?

ここには鏡がない。女性としてあるまじきことだが、私も鏡を持っていなかった。同行者は、どんなに笑われても自分の顔を見ることができない。この素晴らしく面白い顔に心が晴れやかになったまま、気分良く朝飯を食べ、荷物を片付けて、バス停までの最後の行程を歩く。私はいろいろなことの腹いせに、彼の顔を笑い続けた。バス停に荷物を降ろし、座って寛ぐ。車道に反射鏡を発見した同行者が、早速笑われている顔を見に行く。彼は、自分の顔にかなりのショックを受けて戻ってきた。そしてもう一度反射鏡へ。。。そして叫ぶ。

 わかった!誰かに似ていると思ったら朝青龍だ!


デジカメが電池切れだったのが、返す返すも残念でならない。

山滴りてオトコの顔にある人生


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