流されるままに。
呑んでいればご機嫌。
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夜。小屋がひっそりと寝静まった後。逡巡が始まる。
真っ黒な奥穂を前に一人立っている。 大きな大きな奥穂の壁に、息が苦しくなる。 真っ黒な奥穂がわたしに問う。 わたしは本当に登りたいのか? わたしが本当に登りたいのか? 山が好きなのか?本当に好きなのか? 一人でテントを担いで来てしまうくらい、好きなのか? 一人でテントを担いで来てしまう、それは心から望んでいることなのか? わたしの正直な心はちくりと痛む。 答えはNO、かもしれない。 一人では、到底来れなかった。 わたしは本当に奥穂に登りたいのか? 2年前の思い出が美しいだけなのではないのか? 本当は彼と一緒に登りたいんじゃないか? あの景色を、もう一度彼と一緒に見たいんじゃないのか? 一人で登ってしまう彼の、わたしは真似をしているだけではないのか? わたしは山と向き合っているのではなく、 ただ向き合うことができない彼の真似をしてみているのではないか? 山と向き合っているのは、わたしではない。 ただ、彼の真似をしているわたしだ。 彼と一緒に行かなくていいのか? 彼と一緒に行きたいだけじゃないのか? わたしは山が好きなのか? わたしは、本当に穂高に登りたいんだろうか? こんなわたしは明日、頂上を踏んでいいのだろうか? 朝。 テントの朝は早い。人の起き出す気配で目を覚ます。 日の出をゆっくり見たいから。 静かにテントを片付ける。 お湯を沸かして紅茶を淹れて、テント場の岩に腰掛ける。 紅茶を入れた温かいコッヘルを両手で持つ。 太陽がやってくるのをこうやって待つ。 山での大好きな時間。 空がほんのり明るくなってくる。 まだまだ。 足を揺らして大きくうしろに伸びる。 遠くがオレンジになってくる。 もうちょっと。 紅茶を飲んでゆっくり息をする。 ご来光だ。 朝が来て、明るくなって、完全に今日が来る。 奥穂からのエネルギーを感じる。 自分の顔が緩むのがわかる。 奥穂に向かってにっこり笑う。 行っていいんだ! よし!行こう! 今日はちょっと大変だけど、頑張って登って、頑張って無事に下りよう。 PR |
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